私が生活している中で一番
空に近い場所

高層ビルでも
高い山の頂上でもない、学校の屋上

貴方はこの空のもっともっともっと分からない位遠い星で
生を受け、育ち、この地球へ使命を果たしにやってきた。



そして


自ら名乗っていたとおり流れ星のように私にさよならをして去って行った。



この場所は星野との他愛もない思い出が
沢山詰まっている場所。

そして彼が私に・・・・










「空に何かあるのかい？」
「え？」






「まこちゃん・・・」

「うさぎちゃん、どうしたんだい？元気がないみたいだけど」

「え？そんな事ないよ☆元気だよ」
そう云うと、うさぎは、一生懸命おどけて見せた。

「星野君の事じゃないのかい？」

「！・・・・」

「やっぱり・・うさぎちゃんは隠し事が出来ないんだね、
最近用もないのに屋上に来ているみたいだったから心配でついて来たんだ」




まことも空を見上げた



「まこちゃ・・ん・・・」

「自分の本当の気持ちを隠しているんだろう？」

うさぎは、少しだけ微笑んだ後、ゆっくりと話始める。

「一年前、星野を大切なお友達としてしか見ていなかったの。私は星野の事を振ったんだよ。
それに、今はまもちゃんがいつも側にいてくれて大切にしてくれてる。
今更星野が好きだなんてまもちゃんに対しても星野に対しても、言えない。
虫が良すぎるよ・・・第一会える訳でもないのに・・・」


まことは目線をうさぎへと落とす。

「それでも好きになっちまったんだから仕方ないんじゃないかなぁ・・・

・・・亜美ちゃんも、美奈子ちゃんもうさぎちゃんの事心配してるよ」

「え？」

「二人だけじゃないよ、レイちゃんも。みんなうさぎちゃんのことが心配なんだよ。
それに、彼らが帰ってから、うさぎちゃんが衛さんじゃなくて
星野君の事を気に掛けてるのも気がついてる・・・。」

「・・・どうして？」

「だって、衛さんがうさぎちゃんの元に返ってきて、新たに敵が現れた訳でもなく平和に暮らしてるのに
元気のないうさぎちゃんなんて可笑しいだろ？星野君が帰ってからうさぎちゃんが、から元気なのは
皆、気がついてるよ。」

まことはうさぎのお団子をポンポンと撫でた。

「亜美ちゃんと美奈子ちゃんを心配して自分の事は後回しにしていた。
衛さんがいたからね・・・。
二人の恋人は去って行ったけど、自分の彼は戻ってきたから。
彼女達に気を使っていたんだろ？
でも、最近彼女達に笑顔が戻ってきて安心したせいか、
今度は自分が元気を演じる事すらできなくなっちゃった・・・違うかい？」

自分でも気がつかなかった、いや、気づかれぬように隠していた気持ちを
見事に当てられて驚く。
亜美ちゃんも、美奈子ちゃんも自分達の事より私の事を心配してくれていたなんて・・。
涙を浮かべたうさぎはまことに抱きつくと

「そうかも知れない・・・」

ーと、自分でも聞こえない位くらい小さな小さな声で答えた。

「頑張らなくていいんだよ、うさぎちゃん・・・。」

まことは自分よりも小柄なうさぎの体を優しく包んで囁やく。



（・・・有難う、まこちゃん・・・みんな・・・）




暫くの間うさぎはまことの胸に顔を埋めて泣いていたようだが、
すっと離れるとまるで何事もなかったかのように笑って見せた。


「有難う、まこちゃん。すっきりしたよｖｖもう星野の事は忘れるっ。
まもちゃんってよく敵に狙われるから私が守ってあげなきゃねっ、きゃはははっ」

そういい残すと先に行ってるよ～っと走り出し屋上を後にした。





「何がすっきりしただよ・・・・。嘘ばっかり・・・・私達をもっと頼ってよ・・・」


一人残ったまことが呟いた言葉は、聞いてくれる相手がいないが為に
風に乗って流れて行ってしまった。